今日の国際ニュース

日本は海外から、かなり大きなお金を稼いでいます。

2024年の経常収支は約29.3兆円の黒字でした。

その中でも大きいのが、海外へ投資した企業や証券から受け取る利益や配当です。

第一次所得収支は約40.2兆円の黒字。

さらに訪日客が増え、日本でホテルに泊まり、食事をし、買い物をするお金も入ってきます。

ここまで読むと、日本は海外からたくさん稼げているように見えます。

でも同時に、日本から海外へ出ていくお金もあります。

クラウド。

ソフトウェア。

オンライン広告。

データ関連サービス。

私たちが毎日使っている便利なデジタルサービスの多くで、支払先は海外企業です。

政府が今日公表したレポートは、この「デジタル赤字」を日本の産業構造の問題として取り上げました。

インバウンドで稼いでも、なぜ別の場所からお金が出ていくのでしょうか。

ここに注目した

海外のクラウドを使うこと自体は悪いことではありません。

高性能で便利なら、使ったほうが会社の仕事は速くなります。

海外のソフトウェアを買うことも同じです。

問題は、「支払うこと」ではありません。

日本から世界へ売るものが、同じくらい育っているかです。

たとえば、外国人旅行者が日本のホテルへ1万円払ったとします。

ホテルには売上が入ります。

一方、そのホテルが予約管理、広告、クラウド、決済などで海外のサービスへお金を払うことがあります。

旅行というリアルなサービスでは日本が受け取る。

デジタルの基盤では海外へ払う。

同じ一日の中で、二つの方向へお金が動きます。

ひまりのメモ
ひまりのメモ帳

目の前の値動きだけで一喜一憂せず、このニュースを「構造」「デフレ」「国家戦略」「長期」の視点から、長い時間軸で見るのがポイントです。

なぜ重要なのか

これは「日本は観光だけ頑張ればいい」という話でも、「海外ITを使うな」という話でもありません。

もっと長い話です。

日本は30年近く、設備投資や人材投資を抑える時期が続きました。

その間に世界では、ソフトウェアとデータが会社の競争力そのものになっていきました。

昔なら、良い工場を持っていることが強みでした。

今は、その工場を動かすソフトウェア。

顧客データ。

AI。

クラウド。

デジタル販売網。

そうした目に見えない資産が、工場の価値まで左右します。

この部分への投資が弱ければ、製造業が強くても、毎年海外のデジタル基盤へ「家賃」を払い続ける構造になりやすい。

デジタル赤字は、その結果が国際収支に見えてきたものとも考えられます。

黒字でも安心とは限らない

日本全体の経常収支は黒字です。

だから「海外から稼げていない国」ではありません。

海外企業への投資から受け取る利益はとても大きい。

これは日本の強みです。

でも、黒字の中身を見る必要があります。

昔に投資した海外資産から利益を受け取っているのか。

今、日本国内で新しいサービスを作って世界へ売れているのか。

この二つは同じではありません。

過去の資産から稼ぐことも大切です。

でも未来の競争力を考えるなら、新しい受取を作れるかも見たい。

初心者は何を理解すればいいか

国際収支の記事では、「黒字か赤字か」だけで終わらないことです。

誰から受け取ったのか。

何の対価として受け取ったのか。

誰へ支払ったのか。

その支払いは、生産性を高めるための良い支出なのか。

同じサービスを日本企業も世界へ売れているのか。

この順番で見ます。

デジタル赤字が増えても、海外サービスを使うことで日本企業の利益がそれ以上に増えるなら、単純に悪いとは言えません。

一方で、支払う側だけが増え、国内のサービス産業が育たないなら、長期的な競争力の問題になります。

今日、投資行動を変える必要は?

ありません。

「デジタル赤字」という言葉を見て、海外IT企業を避ける必要はありません。

日本のIT企業を一斉に買う必要もありません。

長期投資家として見たいのは、受け取る側へ回れる会社です。

日本の顧客だけでなく、海外へソフトウェアやデータサービスを売れるか。

AIやクラウドを単なるコストではなく、生産性や売上へ変えられるか。

人材と研究開発へ投資しているか。

ここまで見て、初めて「デジタル赤字」というマクロのニュースが企業の話になります。

5分で分かるまとめ

  • 2024年の日本の経常収支は約29.3兆円の黒字だった
  • 海外投資から得る第一次所得収支は約40.2兆円の黒字だった
  • 一方で、貿易・サービス収支は赤字で、デジタル関連の海外支払いが構造問題になっている
  • 海外サービスを使うこと自体が悪いのではない
  • 重要なのは、日本企業が世界へ売るデジタルサービスを育てられるか
  • デジタル赤字は、30年の過小投資を未来の競争力から考える入口になる

寄り道コンテンツ

旅館の売上とクラウド代

外国人旅行者が旅館に10万円払う。

日本には10万円入ります。

でも旅館が海外の予約サイト、広告、クラウド、決済へ合計1万円払う。

すると、お金の一部はまた海外へ出ていきます。

どちらが良い悪いではありません。

大事なのは、旅館がその1万円を使うことで20万円の売上を作れるなら、生産的な支出だということです。

そしていつか、日本企業も世界のホテルから同じように1万円を受け取れるサービスを作れたら、流れは変わります。

私は、赤字の数字より「誰が受け取る側へ回れるか」を見たいと思います。

強い産業も、投資を止めれば立場は変わります。過去に稼いだ資産だけでなく、次の30年に何を作るかを見続けたいと思います。

本記事は投資の考え方を学ぶための一個人の見解です。特定の企業、銘柄や投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

このニュースをもう一歩理解する

デジタル赤字とは何ですか?

クラウド、ソフトウェア、オンライン広告、知的財産などデジタル関連サービスで、海外へ支払う金額が海外から受け取る金額を上回る状態を指す考え方です。国際収支の複数項目にまたがります。

海外のクラウドやソフトウェアを使うのは悪いことですか?

悪いことではありません。優れたサービスを使えば企業の生産性を高められます。問題は、日本企業自身が世界へ売れるサービスやデータ、ソフトウェアを十分育てられず、支払いだけが増える状態が続くことです。

長期投資家はデジタル赤字から何を見ればいいですか?

赤字額だけでなく、国内企業がソフトウェアやデータへどれだけ投資し、海外売上を伸ばせるかを見ます。支払いが増える市場で、逆に受け取る側へ回れる企業があるかを探す視点が重要です。