今日の国際ニュース

デパートが次々と店を閉めている一方で、ショッピングセンターの空き部屋が、ここ20年で一番少なくなっている。そんな少し不思議なニュースがありました。

かつては服や靴を買いに行く場所だったショッピングセンター。今、その空いたスペースを埋めているのは、意外なものばかりです。斧を投げて遊ぶ施設や、最近流行りの「ピックルボール」のコート、それにレストラン、フィットネスジムや医療クリニック。

「買い物をする場所」から、「体験を楽しむ場所」へと、街の風景が少しずつ書き換わっているようです。

ここに注目した

私がこの記事を読んで、一番「なるほど」と思ったのは、この現象は決して「たまたま流行っているから」起きたことではない、という点です。

たとえるなら、これは「お祭りの後の片付け」が進んだ結果、残った場所がとても貴重になった、という状態に似ています。

ここ10年ほど、ネット通販の普及や小売業者の破綻ラッシュによって、たくさんの店舗床面積が淘汰されてきました。供給がじわじわと削られてきた結果、たまたま今、需要と供給が逆転する場所にたどり着いたのです。

その「削り取られた後の、限られたスペース」を巡って、今、新しいタイプの施設たちが激しい争奪戦を繰り広げている。つまり、供給(お店の数)が減ったからこそ、今ある場所の価値が上がっている、という構造的な変化が起きているんです。

ひまりのメモ
ひまりのメモ帳

目の前の値動きだけで一喜一憂せず、このニュースを「構造」「長期」の視点から、長い時間軸で見るのがポイントです。

なぜ重要なのか

この変化は、不動産や投資の世界では非常に大きな意味を持ちます。

まず、場所が足りなくなると、大家さんとテナント(お店)の関係が変わります。これまでは「お店側が場所を選べる」状態でしたが、今は「大家さんが条件を選べる」強気な立場に変わっています。実際に、全米平均賃料は1平方フィートあたり約24ドルで前年比4%上昇しており、新規契約では前の契約より30%以上値上げできた事例もあるほどです。

また、ネットでは絶対に体験できない「わざわざその場所へ行く理由」を持つビジネス(体験型施設など)は、これからの時代、非常に強い力を持つ可能性があります。

ただし、ここで一つ冷静に見るべきポイントがあります。賃料が上がったからといって、すぐに大家さんの利益が増えるとは限らない、ということです。

今はインフレの影響で、建設費や保険料、さらには金利も上がっています。せっかく賃料が4%上がっても、それ以上にコストが増えてしまえば、大家さんの実質的な取り分は増えていないかもしれません。ニュースの数字だけを見て「不動産は絶好調だ!」と飛びつくのは、少し早すぎるかもしれません。

初心者は何を理解すればいいか

このニュースから、ぜひ持ち帰ってほしいポイントは2つです。

1. 「流行」と「構造」を分けて考える「斧投げが流行っているから、その関連企業を買おう」とするのは、単なる流行への便乗です。そうではなく、「供給が構造的に絞られているという仕組み」に注目するのが、投資の視点です。2. 「売上」だけでなく「利益」を見るお店や大家さんが、いくら稼いでいるか(売上)も大事ですが、それ以上に「コストを引いて、いくら残っているか(利益)」が重要です。インフレの時代は、特にここが分かれ目になります。

今日、投資行動を変える必要は?

ありません。

「空室率が下がったから、今すぐ関連の株を買わなきゃ!」と焦る必要は全くないですよ。

今はまだ、現場の「お店の賑わい」と、実際の「投資家たちの判断(株価やキャップレート)」の間に、少しズレがある状態です。これから、この賑わいがしっかりと企業の利益として積み上がり、資本市場がそれを織り込んでいくプロセスを、ゆっくり観察していけば大丈夫です。

5分で分かるまとめ

  • ショッピングセンターの空室率が過去最低水準(5.4%)まで下がっている。
  • 空いたスペースには、買い物ではなく「体験」を提供する施設が集まっている。
  • これは単なるブームではなく、長年の供給淘汰による「構造的な変化」が原因。
  • 賃料は上がっているが、インフレによるコスト増(金利や保険料)とのバランスが鍵。
  • 「流行」に踊らされず、「仕組みの変化」を見極めることが大切。

寄り道コンテンツ:投資の「物差し」を増やす

投資をしていると、どうしても「株価が上がった」「ニュースが出た」という目に見える動きに目が奪われがちです。でも、プロの投資家は、その裏にある「なぜそうなったのか?」という仕組み(構造)を見ようとします。

今回のように、「お店が減ったから、残った場所の価値が上がる」という理屈が、自分の頭でスッと納得できるかどうか。その「腹落ち感」を大切にしてみてください。数字は嘘をつきませんが、その数字が「誰の、どんな状況を指しているのか」を考えるクセがつくと、ニュースの見え方がガラリと変わりますよ。

本記事は投資の考え方を学ぶための一個人の見解です。特定の銘柄や投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

このニュースをもう一歩理解する

ショッピングセンターに体験型施設が増えている理由は何ですか?

ネット通販の普及や小売業者の破綻により、店舗の供給が長年削られてきたことが原因です。限られたスペースを巡り、ネットでは体験できない「わざわざその場所へ行く理由」を持つ施設が需要を集めています。

賃料が上がっているなら、不動産投資は絶好調と言えますか?

賃料は上昇していますが、インフレの影響で建設費、保険料、金利などのコストも増大しています。賃料の上昇分以上にコストが増えていれば、大家の実質的な利益は増えていない可能性があるため注意が必要です。