今日の国際ニュース

Appleが、最大1,100億ドルの自社株買いを追加で行えるようにしました。

日本円に直す前から、十分に大きな数字です。

同時に、四半期配当も4%引き上げ、1株0.25ドルにします。

一方で、1〜3月期の売上高は908億ドルで前年同期比4%減でした。サービス事業は過去最高でしたが、会社全体の売上は伸びていません。

売上が減っている会社が、なぜこれほど大きなお金を自社株買いへ使うのでしょうか。

「自社株買いは株価を上げるため」とだけ覚えると、大事なところを見落とします。

私が見たいのは、会社が稼いだお金を、経営者がどこへ置くのかです。

ここに注目した

会社の現金には、いくつもの行き先があります。

新しい工場を作る。

研究開発を増やす。

人を採る。

別の会社を買う。

借金を返す。

配当を出す。

自分の会社の株を買い戻す。

そして、現金のまま持っておく。

どれが正解でしょうか。

答えは、会社によって違います。

たとえば、100億円を研究開発へ使えば、5年後に300億円の利益を生む技術ができる会社なら、株主へすぐ配るより再投資したほうがよいかもしれません。

反対に、100億円を新工場へ使っても需要がなく、利益がほとんど増えないなら、その投資は会社を大きくするだけで、価値を増やさない可能性があります。

お金を使うことと、価値を作ることは別です。

ひまりのメモ
ひまりのメモ帳

目の前の値動きだけで一喜一憂せず、このニュースを「経営者」「本丸」「長期」の視点から、長い時間軸で見るのがポイントです。

なぜ重要なのか

長期投資で経営者を見るとき、私は「売上を伸ばせる人」だけでは足りないと思っています。

稼いだお金を、次にどこへ配るか。

ここに経営者の腕が出ます。

Appleのような成熟した巨大企業では、すべての現金を新しい工場や買収へ回せばよいわけではありません。

会社の規模が大きくなるほど、同じ高い収益率で再投資できる案件を大量に見つけるのは難しくなります。

そこで、自社株買いという選択肢が出てきます。

会社が自分の株を市場から買い戻すと、発行済み株式数が減ります。

同じ会社の利益を、より少ない株数で分けることになるため、一株当たりの利益や価値は高まりやすくなります。

ただし、ここにも条件があります。

自社株が100円の価値しかないのに200円で買い戻したらどうでしょう。

会社は100円の価値を得るために200円を使ったことになります。

反対に、200円の価値がある株を100円で買い戻せるなら、残った株主にとっては有利になりやすい。

つまり自社株買いも、価格を無視して「多いほど良い」とは言えません。

初心者は何を理解すればいいか

会社のお金の使い道を見るときは、三つの質問で十分です。

一つ目。

この会社には、まだ自社の中に高い収益を生める投資先があるか。

二つ目。

配当や自社株買いで株主へ返すより、そのお金を会社の中で使ったほうが長期で大きな価値を作れるか。

三つ目。

経営者は過去にも、投資、買収、自社株買いを上手にやってきたか。

一度の発表ではなく、5年、10年の履歴を見るのが大切です。

大型買収を何度もしているのに利益が増えていない会社。

自社株買いを高値のときだけ大きくしている会社。

現金を何年も積み上げるだけで使い道を説明しない会社。

どれも、資本配分を考える材料になります。

今日、投資行動を変える必要は?

ありません。

Appleの自社株買いが大きいから買う、という話ではありません。

むしろ今日からできるのは、決算を見たときに利益の次へ進むことです。

その利益から生まれた現金を、経営者は何に使ったのか。

去年使ったお金は、今年どんな利益を生んだのか。

自社株買いなら、どのくらいの価格で買ったのか。

会社の10年後は、経営者のお金の置き場所の積み重ねで作られます。

そこを見ていきたいと思います。

5分で分かるまとめ

  • Appleは追加で最大1,100億ドルの自社株買いを承認した
  • 同時に四半期配当も4%引き上げた
  • 会社の現金には、研究開発、設備投資、買収、借金返済、配当、自社株買いなど複数の行き先がある
  • 再投資が正しいか、株主還元が正しいかは、その会社が生み出せる将来収益で変わる
  • 自社株買いも、買う価格が高すぎれば価値を壊すことがある
  • 長期投資では利益額だけでなく、経営者の資本配分を見る

寄り道コンテンツ

CEOは「会社のお金を配る人」でもある

CEOというと、新製品を発表したり、社員を率いたりする姿を思い浮かべます。

でも長期投資では、もう一つ大切な仕事があります。

会社が毎年生む現金を、どこへ配るか決めることです。

新しい技術へ100億円。

買収へ300億円。

株主還元へ500億円。

一つひとつの判断は小さく見えても、10年積み重なると会社の形そのものが変わります。

だから私は、派手なプレゼンだけではなく、「この経営者は過去にお金をどう配ってきたのか」を見たいと思います。

今の稼ぐ力が永遠に続く会社はありません。だからこそ、今日の利益を明日の価値へ変えられる経営者かどうかを、長い時間軸で見ていきます。

本記事は投資の考え方を学ぶための一個人の見解です。特定の銘柄や投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

このニュースをもう一歩理解する

自社株買いは株主にとって必ず良いことですか?

必ずではありません。割安な価格で株数を減らせれば一株当たり価値を高めやすい一方、株価が企業価値に比べて高い状態で大量に買い戻すと、現金を割高な資産へ使うことになります。

会社は利益を全部再投資したほうが成長しますか?

再投資先が高い収益を生むなら有力ですが、採算の悪い工場や無理な買収へ使えば価値を壊します。自社で使う場合の期待収益と、株主へ返す場合の価値を比べる必要があります。

長期投資で経営者の資本配分をどう見ればいいですか?

過去の設備投資や買収が利益とキャッシュにつながったか、借金を無理なく返せているか、自社株買いをどんな価格で行ったかなど、発言ではなく長期の結果を追って確認します。