今日の国際ニュース

成功者に共通する「5時間ルール」

ビル・ゲイツ、イーロン・マスク、ジャック・マー。著名な経営者には、熱心な読書家として知られる人が少なくありません。

Entrepreneur.comが2019年2月15日に掲載した記事では、成功した人たちが週に5時間ほどを学習や実践に使う「5時間ルール」が紹介されています。200人を超える自力で財を築いた人を追跡した調査では、86%が読書をし、63%が通勤中にオーディオブックを聴くと答えたそうです。

記事が勧めるのは、読むこと、振り返ること、試してみること。毎日1時間が難しければ、まずは5分や10分からでもいい。これは、今日から取り入れやすい素敵な提案です。

ひまりの素朴な疑問

読書が成功をつくったの?

でも、ここで少しだけ立ち止まってみます。

「成功した人の多くが本を読んでいた」という事実と、「本を読めば成功できる」という結論は、同じではありません。矢印が本当に、読書から成功へ向かっているのかを確かめる必要があります。

調査に登場するのは、すでに成功した人たちです。本をたくさん読みながら成功しなかった人が、どれくらいいたのかは分かりません。成功者だけを集めて共通点を探すと、目立つ習慣が成功の原因に見えてしまうことがあります。

これは「生存者バイアス」と呼ばれる考え方です。数字が間違っているのではなく、その数字だけで因果関係まで決められない、ということです。

ここに注目した

読書時間を生む「手前の仕組み」

太郎が注目したのは、成功者が何冊読んだかよりも、なぜ読む時間を持てたのかという点です。

経営者が毎日の細かな業務に張り付いていたら、学び、考え、長期の意思決定をする時間はなかなか生まれません。一方で、仕事を任せられるチームが育ち、権限移譲が進めば、経営者は現場から一歩引いて、未来を考える時間を確保できます。

そう考えると、読書と成功は、どちらか一方がもう一方を生んだのではないかもしれません。二つとも「経営者が現場を任せられる組織」という同じ土台から生まれた可能性があります。

もちろん、これは一つの仮説です。現場に深く関わりながら大量に読書する経営者もいるでしょう。大切なのは、もっともらしい話をすぐに正解にせず、別の説明がないか考えてみることです。

ひまりのメモ
ひまりのメモ帳

目の前の値動きだけで一喜一憂せず、このニュースを「構造を見る」「経営者を見る」「本丸を見る」の視点から、長い時間軸で見るのがポイントです。

投資家が見るべきもの

冊数ではなく、自分がいなくても回る会社か

投資家が経営者を見るとき、「月に何冊読んでいるか」を評価項目にする必要はありません。

見たいのは、その経営者が自分にしかできない判断へ時間を使えているか。そして、自分が細部まで指示しなくても現場が回る組織をつくれているかです。

経営者が学習や戦略に時間を割けているなら、それは権限移譲や人材育成が進み、会社が大きくなれる仕組みを持ち始めたサインかもしれません。逆に、いつまでも経営者一人が現場のすべてを抱えている会社は、その人の時間が成長の上限になってしまいます。

ただし、これも財務数字のように明確に測れるものではありません。決算説明会での発言、幹部への役割移譲、後継者育成、意思決定の速さなどを重ねて、経営品質を考えるための手がかりとして使います。

表面を真似しない

有名だから、上がっているから、を投資理由にしない

成功者と同じ習慣を真似すれば成功へ近づける、という話は魅力的です。でも、表面の共通点だけをまねても、その行動を必要とした目的や環境が違えば、同じ結果にはなりません。

これは株式投資にもよく似ています。有名な経営者だから、みんなが注目しているから、株価が上がっているから。それだけで企業を選ぶのは、「成功者の86%が読書家」という数字だけを見て、読書量を増やすのと同じです。

長期で企業を持つなら、事業のどこに納得したのか、競争優位はどこにあるのか、顧客がなぜその会社を選ぶのかを、自分の言葉で説明できることが大切です。

5分で分かるまとめ

  • 成功者に読書家が多くても、読書が成功の原因だとは限りません。
  • 成功者だけを見ると、生存者バイアスによって共通点が原因に見えることがあります。
  • 読書時間は、権限移譲が進んだ組織から生まれた結果かもしれません。
  • 経営者を見るときは、読書量より「自分がいなくても現場が回る仕組み」に注目します。
  • 投資でも、評判や流行の表面ではなく、それを生み出した構造を見ることが大切です。

寄り道コンテンツ

今日からできる、小さな使い方

読書そのものを否定する話ではありません。本から得た知識を振り返り、小さく試すことには大きな価値があります。

本やニュースを読んだあとに、「これは事実? それとも解釈?」「矢印は反対向きではない?」と一つだけ問いを置いてみる。そんな読み方なら、5分の読書でも、世界を見るレンズを少しずつ育てられそうです。

出典:Entrepreneur.com “The 5-Hour Rule Used by Bill Gates, Jack Ma and Elon Musk”(2019年2月15日)https://www.entrepreneur.com/living/the-5-hour-rule-used-by-bill-gates-jack-ma-and-elon-musk/317602