今日の国際ニュース

2025年9月27日

今日の国際ニュース

株価が上がった、と聞くと、つい「良かったね」と思ってしまいます。

でも、上がった理由まで見てみると、素直に喜べないこともあります。今日は、そんなニュースです。

サッカーゲームで有名なアメリカのゲーム会社エレクトロニック・アーツ(EA)が、投資ファンドによって丸ごと買い取られ、上場をやめるかもしれない、と報じられました。

金額は500億ドル、日本円でおよそ7兆4800億円。名目の金額でみれば、この種の買収としては過去最大級だといいます。早ければ来週にも正式に発表されるかもしれない、という話でした。

この報道を受けて、9月26日のEAの株価は前の日より15%上がりました。

数字だけ見れば、大きなニュースです。でも私が気になったのは、その15%の上がり方のほうでした。

ここに注目した

私が注目したのは、この買収が「借金を使って会社を買う」やり方だという点です。

自分の貯金で家を買うのと、大きなローンを組んで家を買うのは、同じ「家を買う」でも中身がまったく違います。

今回のEAも同じで、ファンドが自分のお金だけで7兆円を用意するわけではありません。かなりの部分を借金でまかない、その借金は買われたあとのEA自身が背負っていくことになります。

だから「7兆円」という金額の大きさは、EAがそれだけ稼ぐ力を持っている証明にはなりません。むしろ買ったあとに、EAがその借金の利息を、自分の商売で稼いだお金からちゃんと払い続けられるのか。私が見たいのは、そこ一点です。

華やかな見出しに、サウジアラビアの政府系ファンドが加わるかもしれない、という話も添えられていました。名前は大きい。でも、名前の大きさと、返済のたしかさは、別のものです。

ひまりのメモ
ひまりのメモ帳

目の前の値動きだけで一喜一憂せず、このニュースを「構造」「長期」の視点から、長い時間軸で見るのがポイントです。

なぜ重要なのか

株価が15%上がった、という事実の読み方が、ここで変わってきます。

買収の話が出た瞬間に株価が上がるのは、多くの場合、その会社の中身が急に良くなったからではありません。

「この買収は成立しそうだ」と考えた人たちが、買収で提示された価格に向かって株を買いにいく。その動きで株価が引き寄せられているだけ、ということがよくあります。

今回の15%も、EAというゲーム会社そのものの評価が15%上がった、という意味ではなさそうです。買収が実現する確率が、じわじわ株価に織り込まれ始めた、というほうが近いと思います。

そして、もし買収価格が正式に決まれば、株価の上値はそこでほぼ止まります。買われる値段が決まっているのに、それより高くは動きにくいからです。

もう一つ。上場をやめると、会社は三か月ごとの成績表を外に出す義務から解放されます。身軽になる一方で、外から中身が見えにくくなる、という副作用もあります。

初心者は何を理解すればいいか

覚えておきたいのは、二つだけです。

一つ目。「大きな会社を、借金を使って丸ごと買う」買収では、その借金を背負うのは買われた会社のほうだ、ということ。だから金額の大きさより、買われたあとに利息を払い続けられるかを見ます。

二つ目。買収報道での株価の急上昇は、会社の中身が良くなったからとは限らない、ということ。「ディールが成立しそう」という思惑で上がっている場合も多いのです。

株が上がること、会社が本当にもうかること、その株が割安であること。この三つは、それぞれ別の話です。ひとまとめにせず、順番に確かめるだけで、見出しに振り回されにくくなります。

今日、投資行動を変える必要は?

ありません。

このニュースを見て、EAの株を急いで買ったり売ったりする必要はありません。

今日持ち帰りたいのは、「株価が上がった理由まで見る」という習慣です。上がった、下がった、の手前で一度立ち止まる。それだけで十分です。

これから続報が出たら、三つだけ見てみてください。買収のうち借金がどれくらいの割合を占めるのか。買われたあとのEAにとって、その利息は商売で稼ぐお金に対して重すぎないか。そして株価が、提示された買収価格へどこまで近づいていくのか。

もし借金の割合が小さく、利息が軽いと分かれば、今日の心配は薄れます。逆に買収そのものが流れれば、株価は元の水準へ戻り、今回の15%が思惑だけだったと分かります。どちらに転ぶかは、今の時点では分かりません。

5分で分かるまとめ

  • ゲーム会社EAが、投資ファンドに丸ごと買われ、上場をやめるかもしれないと報じられた
  • 買収額は約7兆4800億円で、この種の買収としては過去最大級
  • 報道を受け、9月26日のEA株は前日比15%上昇した
  • ただしこれは「借金を使って会社を買う」形で、借金を背負うのは買われたEA自身
  • 株価の15%上昇は、会社の中身が良くなったからではなく、買収成立への思惑による面が大きい
  • 見るべきは、買収後のEAが利息を自分の稼ぎで払い続けられるか
  • 株が上がること、会社がもうかること、株が割安なことは、別々に考える
  • 今日すぐ投資行動を変える必要はない

寄り道コンテンツ

「借金で会社を買う」ってどういうこと?

会社を丸ごと買うとき、買う側がお金の一部を借金でまかなうやり方があります。

面白いのは、その借金を、買った側ではなく、買われた会社が背負うことが多い、という点です。

たとえるなら、誰かがローンを組んであなたの家を買い、そのローンの返済をあなたの家計から払っていくようなイメージです。だから、買われた会社が毎月ちゃんと稼げているかが、いちばん大事になります。

金額の派手さより、返済のたしかさ。これはゲーム会社に限らず使える物差しです。

栄枯盛衰、諸行無常。大きな買収の見出しも、時間が経てば、地味な返済の話に戻っていきます。だからこそ私は、名前や金額の大きさより、その会社が静かに稼ぎ続けられるかを見ていたいと思います。

本記事は投資の考え方を学ぶための一個人の見解です。特定の銘柄や投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

このニュースをもう一歩理解する

なぜ買収額が大きいのに、株価の上昇を慎重に見る必要があるのですか?

今回の買収は借金を利用して行う手法であり、その借金は買われた後のEA自身が背負うことになります。金額の大きさよりも、EAが商売で稼いだお金で利息を確実に払い続けられるかという点が重要だからです。

買収報道で株価が急上昇するのは、会社の業績が良くなったからですか?

必ずしもそうではありません。買収価格に向かって株を買いに行く動きや、買収が成立するという思惑によって株価が引き寄せられることがあり、会社の中身が良くなったこととは別の要因で動く場合があります。