今日の国際ニュース

出典:日経電子版(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE22C7S0S4A320C2000000/)

このニュースを読んだとき、私は見出しの大きさより、その裏で実際に動くお金が気になりました。

公正取引委員会が米グーグルの検索連動型広告事業に行政処分を科す方針を固めた、というニュースを見出しだけで読むと、多くの人は「巨大IT企業にとうとう規制のメスが入った」と受け止めるでしょう。グーグルの売上高の8割を占める広告事業、しかもその中核である検索連動型広告が対象です。

数字だけ見れば十分にインパクトがあります。

ここに注目した

しかし今回使われるのは「確約手続き」という制度で、これは排除措置命令や課徴金納付命令とは性格が異なる。談合やカルテルのような重大違反、刑事告発に相当する悪質行為は対象外で、公取委と事業者の合意によって問題を解決する仕組みです。

ニュースの見出しは、映画の予告編のようなものです。面白そうでも、結末までは分かりません。投資では、その先の数字を確かめます。

2018年12月にTPP11発効に伴って導入され、これまで18件に適用されている。事業者は通知から60日以内に改善計画を公取委へ提出すればよい。強制的に事業構造を解体する処分ではなく、企業側が「これで直します」と約束することで手続きが完結する制度です。

このニュースの本質を理解するには、2010年まで遡る必要があります。当時、日本のヤフーは米ヤフーから検索エンジンの提供を受けられなくなり、グーグルから検索エンジンと検索連動型広告の配信システムの提供を受ける業務提携を結んです。

これによって国内検索市場の9割をグーグルが握る構造が生まれ、マイクロソフトや楽天が公取委に調査を求めた。当時グーグルとヤフーは、検索や広告の運営自体はそれぞれ独自に行うと公取委に説明し、公取委は「競争は維持される」としながらも「状況を注視する」と釘を刺した。

ところがその後、グーグルの要請でヤフーが検索連動型広告配信サービスを一部取りやめる契約変更が行われていたことが判明した。提携当時の説明とは異なる対応です。

ひまりのメモ
ひまりのメモ帳

目の前の値動きだけで一喜一憂せず、このニュースを「国家戦略」「流動性」「構造を見る」の視点から、長い時間軸で見るのがポイントです。

なぜ重要なのか

つまり今回の処分は「グーグルが違反した」という単発の話ではなく、「2010年の提携審査の時点で、公取委がグーグルの実質的な支配力を見誤っていた」という構造的な問題が、14年越しに表面化したものです。処分の迅速さは、この根本原因を解決したことを意味しない。

速く合意に達することと、独占構造そのものが解消されることは、別の問題です。

投資家としてこのニュースをどう扱うべきか。まず押さえておきたいのは、規制強化の動きそのものは事実として存在するということです。公取委は2022年にグーグルの広告事業審査に着手し、2023年10月には検索サービス自体の審査開始も公表した。

さらに政府はグーグルやアップルなどスマートフォンOS提供企業を対象に、アプリストアや決済システムの他社開放を義務付ける事前規制の新法を通常国会に提出する準備も進めている。規制の包囲網は段階的に広がっている。

初心者は何を理解すればいいか

ここは、三つに分けると分かりやすくなります。

しかしここから先、株価や投資収益につながる経路には、まだ埋まっていない空白がいくつもある。まず、グーグルが提出する改善計画の中身が、ヤフーへの配信制限のような契約条項を実質的に撤廃するものになるかどうかは、これから明らかになることであり、現時点の情報からは分からない。

次に、新法が成立した場合、その規制コストは日本市場に限定される可能性が高いが、それがAlphabetの連結広告収益全体に占める比率がどの程度かは、今回のニュース情報の中には出てこない。

日本市場の比重が小さければ、グローバル投資家にとっての株価材料としての重みは限定的になるかもしれないが、これは検証が必要な仮説であり、断定はできない。さらに、この発表に対してグーグルの株価や投資家の資金フローが実際にどう反応したかというデータも、今回の情報には含まれていない。

これは投資家が自分で確認すべき変数であって、記事の中で「株価が下がった、規制で成長が鈍る」と決めつけることはできない。

もう一つ見ておきたいのは三段階目の影響です。確約手続きが「重い制裁より迅速な合意」という穏当な解決モデルとして定着すれば、他の巨大IT企業への規制も同様の形に流れやすくなり、規制リスクが市場に与えるインパクトそのものが構造的に小さくなっていく可能性があります。

これはまだ検証されていない仮説だが、もしそうなるなら、「規制強化のニュース=株価下落材料」という単純な図式は、今後ますます成り立ちにくくなる。

今日、投資行動を変える必要は?

ありません。今日学びたいのは、銘柄ではなくニュースの見方です。

私の投資原則に、ビジネスの本質がシンプルに腹落ちするかを確認するというものがあります。グーグルの検索連動型広告というビジネスの本質は、ユーザーが検索する入口を握っていること、そしてその入口に依存する広告主から広告料を得ることにある。

この構造が2010年から今まで一貫して続いてきたからこそ、グーグルは長年にわたって成長をけん引されてきた。今回のニュースで問われているのは、まさにこの構造、検索の入口を握り、競争者の取引条件まで実質的に左右できる立場が変わったかどうかです。

処分が下りたかどうか、その処分がニュースとして話題になったかどうかは、この本質とは別の話です。

もしグーグルの改善計画がヤフーのような競争者への取引制限を実質的に撤廃し、検索連動型広告市場のシェア構造が実際に動くなら、それは「独占という投資理由」そのものが崩れたことを意味する。そのときは保有の前提を見直す必要があります。

逆に、改善計画が書類上の体裁を整えるだけで、検索の入口を握る構造そのものが変わらないなら、今回の処分は投資判断を変える理由にはならない。世間が「巨大IT規制強化」と騒ぐこと自体は、投資理由にも売却理由にもならない。

見るべきは、処分のニュースの大きさではなく、ヤフーへの契約支配のような具体的な力関係が本当に変わったかどうか、その一点です。

5分で分かるまとめ

  • 今回のニュースは「グーグル広告処分の「速さ」は独占是正の証明にならない」です。見出しだけで投資判断はしません。
  • 公正取引委員会が米グーグルの検索連動型広告事業に行政処分を科す方針を固めた、というニュースを見出しだけで読むと、多くの人は「巨大IT企業にとうとう規制のメス…
  • 投資家としてこのニュースをどう扱うべきか。
  • もしグーグルの改善計画がヤフーのような競争者への取引制限を実質的に撤廃し、検索連動型広告市場のシェア構造が実際に動くなら、それは「独占という投資理由」そのも…
  • 今日すぐに投資行動を変える必要はありません。数字と構造を定点観測します。
  • 最後は、その事業と経営者に共感でき、自分の言葉で腹落ちするかを確かめます。

寄り道コンテンツ

ニュースと投資判断の間に、一呼吸おく

良いニュースが出た会社が、良い投資先とは限りません。ニュースは入口。最後は、事業が自分の言葉で説明できるか、経営者に共感できるか、10年持つ姿を想像できるかを確かめます。

栄枯盛衰、諸行無常。今日の人気が、10年後も続くとは限りません。だから私は、値動きより事業と経営者を見ます。自分で腹落ちするものを、長い時間軸で考えていきましょう。