今日の国際ニュース
投資会社Silver Lakeが、Endeavorを非公開化する契約を発表しました。
価格は1株27.50ドルの現金。
発表では株主価値が約130億ドル、連結企業価値は約250億ドルとされています。
130億ドルと250億ドル。
同じ会社なのに、なぜ二つの価値があるのでしょうか。
そしてPEファンドは、なぜ自分のお金だけでなく借金まで使って会社を買うのでしょうか。
M&Aの記事を読むための基本を整理します。
ここに注目した
まず「株主価値」と「企業価値」は違います。
株主価値は、株主が持っている持分の価値です。
一方、企業価値は事業全体を買う視点です。
会社に借金があれば、買い手はその負担も無視できません。
現金をたくさん持っていれば、その分は調整できます。
だから「1株いくらで買うか」と「事業全体をいくらと評価したか」は別の数字になります。

目の前の値動きだけで一喜一憂せず、このニュースを「構造」「本丸」「流動性」「長期」の視点から、長い時間軸で見るのがポイントです。
なぜ重要なのか
PEファンドではLBOという方法がよく使われます。
Leveraged Buyout。
買収資金の一部に借金を使う方法です。
たとえば100億円の会社を、自分のお金100億円だけで買うのではなく、40億円を自己資金、60億円を借金で買うイメージです。
その後、会社が生み出すキャッシュで借金を返していきます。
事業が成長し、借金も減り、最後に高い価格で売れれば、40億円の自己資金に対するリターンは大きくなります。
でも逆もあります。
利益が落ちても利息は払う必要があります。
借金はリターンを増幅しますが、失敗も増幅します。
初心者は何を理解すればいいか
M&Aの記事を見たら、四つに分けます。
いくらで買うのか。
そのうち借金はいくらか。
買った後、会社のキャッシュをどう増やすのか。
最後にどう現金化するのか。
最後の部分を「出口」と呼びます。
別会社へ売る。
再び上場する。
配当を受け取る。
PE投資は「買った日」で終わりません。
買値から出口までが一つの投資です。
今日、投資行動を変える必要は?
ありません。
PE関連のニュースを見て、レバレッジは危険、あるいは効率的、と一言で決める必要はありません。
見るのは返済力です。
事業のキャッシュは安定しているか。
金利負担は重すぎないか。
買収後に利益を増やせる余地はあるか。
高すぎる価格で買っていないか。
借金の量ではなく、その借金を支える事業を見ます。
5分で分かるまとめ
- M&Aでは株主価値と企業価値を分けて考える
- PEのLBOでは買収資金の一部に借金を使うことがある
- 借金は自己資金リターンを高める可能性がある一方、損失も増幅する
- 買収後の事業キャッシュが返済力の本丸
- PE投資は買値、事業改善、借金返済、出口までで一つ
寄り道コンテンツ
住宅ローンで家を買う感覚
1億円の家を、1億円すべて現金で買う人もいます。
頭金3,000万円とローン7,000万円で買う人もいます。
家の価値は同じでも、自分が出した資金と借金の比率は違います。
会社の買収も少し似ています。
違うのは、返済原資がその会社自身の事業キャッシュになることです。
私はM&Aを見るとき、買収額の大きさより、その後にどんなキャッシュで借金を返すのかを見たいと思います。
本記事は投資の考え方を学ぶための一個人の見解です。特定の企業、銘柄や投資行動を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
このニュースをもう一歩理解する
LBOとは何ですか?
Leveraged Buyoutの略で、買収資金の一部に借金を使う企業買収です。買収後の会社が生むキャッシュを返済原資にする構造が一般的です。
借金を使うとPEの利益は増えますか?
事業が計画通り成長すれば、少ない自己資金で大きな資産を保有するためリターンが高まる可能性があります。一方、業績悪化時には返済負担も大きくなります。
株主価値と企業価値は何が違いますか?
株主価値は株主に帰属する価値です。企業価値は事業全体を見て、株主価値に純有利子負債などを調整して考えます。買収価格を読むときは両方を分けます。
