今日の国際ニュース

最近、ニュースで「半導体」という言葉を聞かない日はありませんよね。AIの進化や、電気自動車の普及……。あらゆるテクノロジーの心臓部として、半導体への注目度はかつてないほど高まっています。

そんな中、ある数字が飛び込んできました。未上場の半導体スタートアップ(これから上場を目指す新しい会社)が調達した資金の総額が、2023年7〜9月期、前四半期比68%増の52億ドルに達したというのです。

「半導体業界、ものすごく盛り上がっているんだな!」と、ついワクワクしてしまいますよね。でも、私がこの数字を見て、ふと立ち止まってしまった理由があります。

ここに注目した

数字をもう少し詳しく見ていくと、不思議な現象が起きているんです。

総額はぐんと増えているのに、お金を受け取った会社の「件数」は、2021年7〜9月期のピーク360件から、ほぼ半減した188件にとどまっています。さらに、調達件数に占める「アーリーステージ」と呼ばれる若い企業の割合も、2023年通年で見ると48%まで下がり、ここ数年で最も低い水準になっています。

これって、例えばある商店の売上が急に増えたときと同じ状況なんです。

「お客さんが増えて賑わっている!」と思いきや、実は客数は減っていて、一部の「ものすごく買い物をしてくれる常連さん」が、いつもより大きな買い物をしただけ……。そんな状態に近いのかもしれません。

つまり、今起きているのは「業界全体が底上げされている」というより、「特定の、国策に関わるような大きな会社に、お金が集中している」という構図なんです。

ひまりのメモ
ひまりのメモ帳

目の前の値動きだけで一喜一憂せず、このニュースを「構造」「国家戦略」の視点から、長い時間軸で見るのがポイントです。

なぜ重要なのか

なぜ、こんなに一部の会社にお金が集まっているのでしょうか。その背景には、経済というより「安全保障」という、国家レベルの動きがあります。

今、米国、欧州、中国といった国々は、2022年以降、それぞれ400億ドル(約5兆6000億円)以上を半導体開発に投じる方針を掲げています。自動車から最新のAIまで、半導体がなければ何も動かないからです。

そのため、各国は「自分たちの国で半導体を確保したい」と考え、国家予算レベルの巨額な資金を投じています。今回の投資の急増も、こうした「国策マネー」が、未上場企業への出資という形で市場に流れ込んでいるサインといえます。

特に中国は、2023年7〜9月期の投資額のうち60%を占めていて、2位の米国(18%)を大きく引き離しています。上海積塔半導体(GTA Semiconductor)が19億ドルもの巨額資金を集めるような、桁違いの動きを見せています。

初心者は何を理解すればいいか

このニュースから、私たちは次の2つのポイントだけ覚えておけば大丈夫です。

1. 「総額」のニュースに踊らされない「半導体への投資が急増!」という見出しだけを見ると、業界全体が成長しているように見えますが、実際には「一部の大きな会社に、国のお金が集まっている」という、偏った状態であることを理解しておきましょう。

2. 「国策」と「企業の力」は分けて考える国が巨額の予算を出すからといって、その会社が必ずしも儲かるとは限りません。国のおかげで一時的に資金が集まっていても、その会社が本当に素晴らしい技術を持っているのか、ビジネスとして自立できるのかは、また別の話なのです。

今日、投資行動を変える必要は?

結論から言うと、今日すぐに売買をする必要はありません。

ニュースを見て「半導体はすごいんだ!」と安心したり、逆に「お金が偏っているなら怖いな」と慌てたりする必要もありません。

大切なのは、これから「その会社が、国のお金がなくても、自分たちの力で稼げる仕組みを持っているか?」を、じっくり観察していく視点を持つことです。

5分で分かるまとめ

  • 半導体スタートアップへの投資総額は増えているが、投資される「件数」は減っている。
  • お金は、新しい挑戦者ではなく、国策に関わる「一部の大きな会社」に集中している。
  • 背景には、国が半導体を自国で確保しようとする「経済安全保障」の動きがある。
  • 投資としては、「国のお金」による一時的なブームなのか、「事業の本質的な強さ」なのかを見極めることが大切。

寄り道コンテンツ:アーリーステージって何?

投資の世界では、会社の成長段階を「ステージ」で呼びます。

  • アーリーステージ:まだ製品が完成していなかったり、研究開発がメインだったりする、いわば「赤ちゃん」や「子供」のような段階。成功すれば大きいけれど、失敗するリスクも高い時期です。
  • レイターステージ:事業が軌道に乗り、利益もしっかり出始めている「大人」のような段階。

今回のニュースでは、この「赤ちゃん」たちへの投資が減り、「すでに形になっている大きな会社」にお金が集まっている、という変化が起きているんです。

このニュースをもう一歩理解する

半導体への投資が増えているのに、なぜ件数は減っているのですか?

投資総額は増えていますが、一部の大きな会社に巨額の資金が集中しているためです。新しい挑戦者であるアーリーステージ企業の割合が低下しており、特定の国策に関わるような企業へお金が偏っている状況が伺えます。

半導体投資が急増している背景には何がありますか?

経済安全保障の観点から、各国が半導体を自国で確保しようとする動きがあるためです。米国、欧州、中国などが国家予算レベルの巨額な資金を投じており、その国策マネーが未上場企業への出資として市場に流れ込んでいます。