今日の国際ニュース

出典:The New York Times(https://www.nytimes.com/2023/04/20/science/spacex-launch-explosion-elon-musk.html)

このニュースを読んだとき、私は見出しの大きさより、その裏で実際に動くお金が気になりました。

2023年4月20日朝、南テキサスの発射場から史上最も強力なロケットとされるスターシップが打ち上げられた。轟音とともに上昇したロケットは、約1分後に空力的な負荷が最大になる局面を越え、そこまでは順調に見えた。しかし約4分後、機体は制御を失って回転を始め、メキシコ湾上空で爆発した。

SpaceXの発表によれば到達高度は約24マイル。計画では約150マイルまで上昇し、90分後にハワイ沖の太平洋へ着水する予定でした。

33基あるSuper Heavyブースターのエンジンのうち複数が途中で停止し、誘導システムがそれを補いきれなかったことが、機体をコークスクリュー状に回転させた原因でした。

ここに注目した

NASA長官はこの結果を「学び」として公に称賛し、イーロン・マスク自身も打ち上げ前から複数回の試行を要する可能性を示唆していた。実際、SpaceXは既にこの年だけで25回の宇宙飛行を成功させており、今回の一件だけを見て会社全体が揺らぐわけではありません。

ニュースの見出しは、映画の予告編のようなものです。面白そうでも、結末までは分かりません。投資では、その先の数字を確かめます。

到達高度24マイルは計画の約16パーセント、飛行時間4分は計画90分の約4パーセントにすぎないという数字は、確かに「計画達成度」としては低い。だがこの数字が何を意味するかというと、それは技術的な設計検証データの取得量であって、修理費や保険金といった財務上のコストではありません。

今回のソースにはその金額情報は存在せず、ここから先を金額換算することはできない。

ひまりのメモ
ひまりのメモ帳

目の前の値動きだけで一喜一憂せず、このニュースを「国家戦略」「経営者を見る」「流動性」の視点から、長い時間軸で見るのがポイントです。

なぜ重要なのか

ここで一般的なニュースの受け止め方は「爆発=失敗だが技術的には前進」という二元論で止まる。しかし投資家として本当に問うべきことは別にある。

NASAのアルテミス計画の予算がどれだけ積み上がり、月面着陸という壮大な目標が語られようと、その経済的な価値を株主として受け取る手段が存在するかどうかです。SpaceXは世界で最も評価額の高い非公開企業のひとつであり、株式は公開市場に存在しない。

つまり「政府予算が増える→企業が受注する→企業の売上・利益が伸びる→株価が上がる→投資家がリターンを得る」という、防衛や宇宙開発の記事でよく語られる遷移の連鎖は、この会社に関しては最後の複数の環——資金フロー、再評価、株価反応——がそもそも存在しない形で途切れている。

予算が大きいことと、投資テーマが成立することは別の話です。

この構造は、SpaceXの過去の経緯からも裏付けられる。同社は小型ロケットFalcon 1で3回連続して軌道到達に失敗し、4回目の打ち上げに会社の存続そのものがかかっていた。

あのとき会社を救ったのは株式市場からの評価でも投資家の熱狂でもなく、非公開企業としての資金繰りと、次の打ち上げまで持ちこたえるだけの現金でした。今回のスターシップも同じ構図にある。

SpaceXが今回の失敗を吸収できるのは、非公開企業として大きな財務的余裕を持っているからであり、その健全性は公開市場の株価には一切反映されない。良くも悪くも、外部の投資家がこの会社の経営判断や財務体質を株価という指標で継続的に検証する手段が存在しないのです。

初心者は何を理解すればいいか

ここは、三つに分けると分かりやすくなります。

もう一段先を考えると、スターシップの遅延はアルテミスIIIの想定スケジュールである2025年後半の月面着陸に影響する可能性があり、それがNASAと契約する他の公開企業の受注時期や予算配分に波及する可能性は理屈として存在する。

ただしどの企業がどの契約でどれだけ影響を受けるかは、今回のソースには一切記載がなく、これは断定すべき事実ではなく、投資家が個別に確認すべき監視事項として扱うべきです。

もしSpaceXが将来上場し、スターシップ関連の収益や利益率が財務諸表として開示されるようになれば、今回途切れている連鎖の一部はつながり直す。あるいはアルテミス予算の増減が特定の公開企業の受注に定量的に反映される証拠が別途出てくれば、そこだけは投資判断の材料になり得る。

逆に言えば、今この記事の時点でその証拠がない以上、スターシップのニュースそのものを投資理由にすることはできない。

今日、投資行動を変える必要は?

ありません。今日学びたいのは、銘柄ではなくニュースの見方です。

打ち上げを見に来た人々は、爆発したにもかかわらず「それでもかっこよかった」と口を揃えた。その熱狂は理解できるし、技術的な達成としても否定するものではありません。しかし投資という物差しに置き換えたとき、人気や話題性、あるいは経営者の派手な発言そのものを買う理由にしてはいけない。

ここで確かめるべきは、有名だから、盛り上がっているから、株価が動きそうだから、ではなく、自分がその事業の本質をシンプルに腹落ちできるか、ビジネスとして面白いと思えるか、経営者をおもろいと思えるかどうかです。

仮にSpaceXが将来上場し、この三つの問いに自分なりの答えを持てたとしても、そこから先の長期保有で見るべきものは日々の株価でも打ち上げの成否のニュースでもない。

自分が最初にその会社を理解し、投資したいと思った理由——再使用可能な巨大ロケットという事業の本質や、経営の姿勢——が変わっていないかどうかだけを、淡々と確認し続けることです。逆にその前提が崩れたなら、保有をやめる判断もまた同じ物差しから出てくる。

今回のスターシップに関して言えば、その物差しを当てる土台となる株式そのものがまだ存在しない。だからこの記事が最終的に伝えたいのは、次に爆発するのか、次にいつ上場するのか、という予測ではありません。

壮大な予算とニュースの規模に反応する前に、それを保有可能な資産に変換する経路が今あるのかどうかをまず確認する姿勢そのものが、長期投資の物差しだということです。

5分で分かるまとめ

  • 今回のニュースは「スターシップ爆発は『失敗』か——投資家が見るべきは株価ではなく、株式という乗り物の有無だ」です。見出しだけで投資判断はしません。
  • 2023年4月20日朝、南テキサスの発射場から史上最も強力なロケットとされるスターシップが打ち上げられた。
  • この構造は、SpaceXの過去の経緯からも裏付けられる。
  • 今回のスターシップに関して言えば、その物差しを当てる土台となる株式そのものがまだ存在しない。
  • 今日すぐに投資行動を変える必要はありません。数字と構造を定点観測します。
  • 最後は、その事業と経営者に共感でき、自分の言葉で腹落ちするかを確かめます。

寄り道コンテンツ

ニュースと投資判断の間に、一呼吸おく

良いニュースが出た会社が、良い投資先とは限りません。ニュースは入口。最後は、事業が自分の言葉で説明できるか、経営者に共感できるか、10年持つ姿を想像できるかを確かめます。

栄枯盛衰、諸行無常。今日の人気が、10年後も続くとは限りません。だから私は、値動きより事業と経営者を見ます。自分で腹落ちするものを、長い時間軸で考えていきましょう。